今回の年末年始は読書に明け暮れた。冬ごもりは知的にも最適な時空だろう。
トマス・ピンチョンを読みまくった。「重力の虹」上巻と「ヴァインランド」を佐藤良明翻訳でとにかく読み終えた。
書評なる文章は大概、あらすじを書き込んで読了後の余韻を楽しみながら印象や感想や雑感を書くわけだがことピンチョンの小説はそんなことはどうでもよくてつまり要約を漸く書いてもつまらなくてプロットや百科辞書的?教養と知識に裏付けされた雲茶ら感茶らもどうでもよくてそんなことは読めば明確に分かることなわけで。
前・中・後という時系列的三段階で言ってもピンチョンを読む前、読んでいる最中、読んだ後とそれぞれに楽しい。やれ謎の天才作家だの村上春樹よりも早くノーベル賞を受賞するとかミステリアスな作家であってネットを検索するだけでいろいろ語られている。
ボーラーニョ「2666」のアルチンボルディなる作家がピンチョンと重なって仕舞うのはボラーニョがピンチョンの魔術的リアリズムと重なるからだろうか。しかも興味深いのは人間存在への洞察が面白い。「V.」のレイチェルやプロフェインが諸作でバリエーション豊かに再登場している。スロースロップもゾイドも愛すべき木偶の坊の派生的人物だろうし。日本人も「2666」にも「ヴァインランド」にも出てくる。海外小説において「日本」「日本人」がどう描かれるかも比較文化論的にも面白い。
大著です。ロケットと勃起の関係が解き明かされて? |
1984米国の権力の現在が浮き彫りに..。 |
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