他の追随も許さぬ斬新な独自の小説を作者独特の小説論の実践的展開として発表しているのだろうか?読売新聞の連載小説として約半年掲載されたという。本作作者の保坂和志には物語を期待しない方がいい、今回もそんな感じだった。3歳前後から小二あたりまでの記憶、思い出が綴られている。特に「鎌倉」を描きたかったわけでもないらしくたまたま書く時期の自分の時間にその空間で暮らしていたという程度なのかも知れない。
しかし奇を衒うのか技法的実験なのか、「句読点」が濫用されている感じで非常に読み辛かった。前作の「未明の闘争」でもそんな意図した作風だったと記憶するけどリズム感や流れるような文体を敢えて崩すみたいなことになっているのかも知れない。
時々折に触れて「あなた」と語るような文章が散見し読んでいて「ドッキッ」としたり「ハッ」としたりしたけど、気にすることもなかったようだ。
多分、読者の多くが小学校時代やその頃の住んだ場所、時間、家族やら親戚との思い出なんかがふっと読みながら思い浮かんでくる筈だ。その瞬間が凄く愛おしい懐かしいでも鮮明だった。それはもの凄く自分的に納得できる時間の流れだった。
0 件のコメント:
コメントを投稿