2014年11月15日土曜日

「東京最後の異界 鶯谷」を読んだ。


 東良美季の日記ブログを愛読していて氏の写真が表紙になっているということで本書を読んでみたのだが鶯谷は大層面白い猥雑な時空らしい。とどのつまりは風俗が沸騰しているエリアだ。
 勝谷誠彦の「色街を飲む」も面白かったが鶯谷のホテルで春をひさぐ妖艶なる女達の大らかで強かな赤裸々告白を取材し綴った本書は出色のルポルタージュとなっている。極左な面々の挿入もあって純粋な「鶯谷のルポ」というよりは作者のバックグラウンドからの視点視座、捨象するべからざるの濾過し残った砂金の如く慈しみ愛おしむ情趣が実にいい。鶯の鳴き声がエロスを奏でるかどうか。東京には谷のつく地名が多い。渋谷、四谷、入谷、谷中、それでもそんなものか。
 時代の先鋭性は性に顕在化する。時代をエリアの限定的な空間に収斂すればミニマムな地図が明らかとなろう。時空を彩る祝祭の性を観察すると不思議な事象も掬い取れるのではないか。写真で見る限り作者はかなりのドンファンであろう。



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